リハビリテーション科
基本理念
●地域に信頼されるリハビリテーションサービスの提供
●集中的・包括的リハビリテーションから在宅復帰へ
目標
●入院から在宅生活まで、ニーズに応じた質の高いリハビリテーションサービスの提供
●チームアプローチの充実により早期自宅退院を目指す
●自己研鑽に努める
●目標を意識して効率的に業務に携わる
「リハビリ」は、正確にはリハビリテーション(リ=再び、ハビリテーション=適応すること)といい、病気やけがで生じた障害をできるだけ少なくして、残された能力を最大限に活用し社会復帰することを意味します。言い換えれば、「病気を治す」というよりも「障害を克服する」と言った方が解りやすいかと思います。リハビリは、安静臥床により引き起こされる数多くの廃用症候群(ねたきり)を予防し、日常生活活動をできるだけ早期に獲得することを目指します。
リハビリにかかわる職種には、リハビリ科専門医、手足の機能を高める理学療法士や作業療法士、言語機能や嚥下・摂食機能を高める言語聴覚療法士、家庭と職場との橋渡しをするソーシャルワーカーなどがあります。当科には26名の理学療法士、17名の作業療法士、7名の言語聴覚士がいます。スタッフ一同、少しでも効果の上がるリハビリを行ない、失われた機能を取り戻すべく日々努力したいと考えています。
また、リハビリは患者さん御自身のやる気と同時に御家族の援助や協力が必要です。本邦では、練習は「してもらうもの」と思い込んで、リハビリを目的とした入院中でさえ練習時間以外はベッドで寝てたり、退院後にいつまでも病院通いをしてくる患者さんが多くみられます。しかし、実際に、御家族が協力して患者さんのケアを行えば、重度の麻痺があっても社会復帰することが可能です。何とか一日でも早く、少しでも元の生活に近い状態に復帰し、生き甲斐のある生活を取り戻していただきたいと思っています。
Quality of life(生活の質)はひと各々で違いますが、生き甲斐を持って生活できるように患者さんを支え、御家族をサポートすることがリハビリテーション医療に携わるものの使命であると考えています。
当院では、入院・外来のリハビリテーションを行っています。入院では、回復期リハビリテーション病棟を設置しています。
入院リハビリテーション
・当院には、回復期リハビリテーション病棟1( 2階 /3階 )と医療療養病棟(4階)があります。
《回復期リハビリテーション病棟》は、平日及び祝日の365日のリハビリテーションを提供しています。
《医療療養病棟》は、平日及び土曜を中心にリハビリテーションを提供しています。
※患者様の疾患や職種により、介入頻度は異なる事をご承知おきください。
外来リハビリテーション
・初回診療は随時受け付けており、医師の処方により開始となります。
2回目以降は完全予約制となっております。
⇒平日、土曜日の午前9時~12時、午後13時~17時
(日曜、祝日はお休みとさせて頂きます)
疾患別リハビリテーション
疾患別 | 対象疾患 | リハビリの行える期間(発症から) |
---|---|---|
脳血管疾患等 | 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など) 脊髄損傷、パーキンソン病、末梢神経障害 失語症、高次脳機能障害など |
180日 ※ただし、回復期リハビリテーション病棟に入院されている方は、入院日から150日(一部180日)となります。 |
運動器 | 骨折、変形性関節症、運動器不安定症など ※運動器不安定症とは…バランス能力及び歩行能力の低下が生じ、閉じこもりや転倒のリスクが高まった状態。 |
150日 |
廃用症候群 | 肺炎など、急性疾患に伴う安静により一定以上の動作能力、日常生活能力の低下をきたしたもの | 120日 |
施設基準
脳血管疾患等リハビリテーション(I)
運動器リハビリテーション(I)
廃用症候群リハビリテーション(I)
理学療法士 (25名)
作業療法士 (16名)
言語聴覚士 ( 7名) ※時短勤務者:5名 育児休暇者:0名
理学療法士(Physical therapist:PT)
身体に障害のある人に対し、その身体機能(筋・関節の柔軟性、筋力、麻痺等)、基本動作能力(寝返る、起き上がる、座る、立つ、歩く等)の回復や障害の悪化防止のために運動療法、日常生活練習、物理療法などを行います。それぞれの患者様に合ったプログラムを提供し、生活指導も行います。
作業療法士(Occupational therapist:OT)
何らかの原因によって、身体または精神に障害を来たし作業遂行(円滑に日常生活を送る為の手段)が困難になった人に対し、作業活動(その人に必要とされる行為)を用い、生活の自立獲得を図ります。日常生活や職場復帰(または新しい職場への就職)が出来るよう練習、指導、助言を行います。さらには余暇活動の充実に対しても援助します。
言語聴覚士(Speech therapist:ST)
脳の損傷により聴く・話す・読む・書くといった言語機能が障害された方に対してのコミュニケーション練習や記憶力・注意力といった機能が障害された方へリハビリを行っています。また食事が難しくなった方に対して、飲み込み練習や安全な食事ができるよう支援致します。
車椅子・義肢装具コンサルタント/自動車運転支援
車椅子や義肢装具作製、自動車運転のサポートについて
当院では、障害や身体機能の評価を行った上で、より能動的な活動や参加が出来るように、車椅子や義肢装具の選定と調整を行っています。理学療法士のみならず、作業療法士や言語聴覚士も各コンサルタントチームに所属し、入院や在宅生活における問題解決に努めています。
また、自動車運転の再開希望が聞かれた当院の入院患者様に対して、医療的な立場から運転支援を行っています。
臨床教育/学生教育
当院は、回復期〜生活期のリハビリテーションを担う職員として、日々臨床現場での教育に力を入れています。上記に記したチームでの活動は、経験年数に応じた責任のある役割を明確にし、また若手スタッフには、より専門的なリハビリテーション業務を経験できるように努めています。
臨床業務の一環として、定期的に症例検討会や疾患に対する勉強会を行い、またキャリアを問わず積極的に学会発表・参加を行っていることから、新しい治療・技術の実践を自由に行える環境にあると考えています。
臨床教育実習施設としては、年間十数名の学生を多数校から受け入れ、学生教育・育成を行っています。これから理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を目指し勉強されている学生に、回復期〜生活期の臨床現場を提供し、地域に根ざした機能を全うするよう日々努力をしています。
取得資格・認定
日本理学療法士協会 認定資格
専門理学療法士(神経・運動器)
認定理学療法士(管理運営・脳卒中)
協会指定管理者(上級・初級)
地域包括ケア推進リーダー
介護予防推進リーダー
臨床実習指導者講習会修了
東京都理学療法士協会スポーツリハビリテーション技能テスト修了
日本作業療法士協会 認定資格
MTDLP(生活行為向上マネジメント)(応用・基礎)
臨床実習指導認定(上級)
その他の認定資格
回復期リハビリテーション病棟協会認定 回復期セラピストマネージャー
3学会合同呼吸療法認定士
心臓リハビリテーション指導士
心不全療法指導士
認知症初期集中支援チーム研修修了
認知症ケア専門士・認知症キャラバンメイト
介護支援専門員
AMPS認定評価者
救命技能認定(赤十字救急法救急員・上級・普通)
旅サポーター・トラベルヘルパー(2級)
アクティビティインストラクター
福祉住環境コーディネーター(2級・3級)
福祉用具選定士・福祉用具プランナー
東京都地域リハ人材育成研修(初任者・現任者)
西東京糖尿病療養指導士
学会・研究会への発表(2023年度)
学会発表・研修会報告
・第31回日本慢性期医療学会 2023年10月19日~20日(大阪府)
医療療養病棟でのリハビリテーションにより嗜好品の経口摂取を達成し、生活の保養獲得に繋がった症例
間宮 萩1)、中村恵典1)、阿部 順1)、内藤帆香1)、富岡俊輝1)、中里哲大1)、奥野美咲1)、秦 和文1)、佐藤文雄1)、大前年正2)
1) 社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 リハビリテーション科
2) 社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 内科
・東京都作業療法士協会 現職者共通研修 事例報告・検討(東京都)
右片麻痺を呈した症例に対し食事動作自立に向けて介入した事例
大杉真結子
社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 リハビリテーション科
・東京都理学療法士協会 第10回西多摩・南多摩ブロック学術集会 症例検討会 2024年1月28日
早期退院に向けてカナダ式作業遂行測定と歩行満足度に注目した症例
笹野裕樹喜
社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 リハビリテーション科
・回復期リハビリテーション研究大会in熊本 2024年3月8日~9日
着衣障害を呈した症例に対して多職種連携とその重要性~誤りなし学習への取り組み~
中里哲大1)、棚谷祐昌1)、東田智生1)、秦 和文1)、佐藤文雄1)、川村大樹1)、原 潤子1)、小笠原一登1)、浦野達也1)、村井圭祐
1) 社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 リハビリテーション科
2) 社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 内科
講師・座長
・東京都理学療法士協会 地域包括ケア基礎研修 2023年9月9日
テーマ:地域包括ケアシステムとの関わり方
講師:佐藤文雄
・東京都理学療法士協会 羽村市支部での羽村市健康課との共催事業
『はむらEnjoyウォーキング』
第1クール第1回 2023年4月16日
講座:ウォーキングの効用、体重とBMI、摂取カロリー消費カロリー
講師:佐藤文雄
第1クール第2回 2023年5月21日
講座:ストレッチと筋トレ
講師:棚谷祐昌
第1クール第3回 2023年6月25日
講座:体型と姿勢
講師:太樂成美
第1クール第4回 2023年7月23日
講座:運動継続のコツ
講師:奥野美咲
第2クール第1回 2023年9月24日
講座:ウォーキングの効用、体重とBMI、摂取カロリー消費カロリー
講師:齋藤俊文
第2クール第2回 2023年10月15日
講座:体型と姿勢
講師:吉岡俊太
・東京都理学療法士協会 第10回西多摩・南多摩ブロック学術集会 症例検討会 2024年1月28日
座長:秦 和文
・東京都理学療法士協会 地域活性局 都民向け支部事業報告会 2024年2月22日
講座:羽村支部 羽村Enjoyウオーキング
講師:佐藤文雄
※その他、地域や院内で行われている研修会、また理学療法士としてのスキルアップを目的とした現職者講習会へも積極的に参加しています。
当院のリハビリテーションとしての質の向上とスタッフとしての各個人の技術の向上が、患者さんへ還元できるような職場を目指し、研究や研修活動に努めています。
学会・研究会への発表(2022年度)
学会発表・研修会報告
・第41回関東甲信越ブロック理学療法士学会 2022年9月10日~11日(東京都)
入院時の食事姿勢・嚥下機能評価についての意識調査~摂食嚥下評価シートの導入~
棚谷祐昌1)、伊辺悠士1)、浦野達也1)、干川明子2)、並木晴美2)、秦 和文1)
1) 社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 リハビリテーション科
2) 社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 看護部
・西多摩リハビリテーション研修会 令和4年度症例検討会 2023年2月9日(東京都)
リハビリテーション効果が反映されにくい高次脳機能障害患者に対しアドバイスノート活用について
中村恵典
社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 リハビリテーション科
覚醒や体性感覚に対してのアプローチを続けた結果、座位姿勢に変化が現れ、嚥下機能練習が行えるようになった症例(抄録提出のみ)
佐藤和巳
社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 リハビリテーション科
・回復期リハビリテーション病棟協会 第41回研究大会(岡山県)
発症から半年経過後もFIMの改善を認めた重度右片麻痺と失語症を呈した脳血管患者
奥野美咲、井上直樹、岡部浩也、秋葉史雄、棚谷祐昌、秦 和文、佐藤文雄
社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 リハビリテーション科
・東京都作業療法士協会 現職者共通研修 事例報告・検討(東京都)
JASMIDを用いた気づきにより、麻痺側上肢の使用頻度が向上した右片麻痺患者
伊藤綾音
社団法人社団三秀会 羽村三慶病院 リハビリテーション科
講師・座長
・西多摩痙性治療セミナー 2022年8月25日
回復期から生活期リハビリテーションにおける痙縮治療の課題
講師:秦和文
・第41回関東甲信越ブロック理学療法士学会 教育講演2
座長:秦和文
・西多摩リハビリテーション研修会 第2回定例講演 2022年9月13日
認知症の地域連携について
講師:齋藤雄大
・東京都理学療法士協会 地域包括ケア基礎研修 2022年10月8日
行政との関わり方
講師:佐藤文雄
・羽村市介護支援専門員研修 2022年10月26日
医療保険のリハビリと介護保険のリハビリ
講師:佐藤文雄
・西多摩地域リハビリテーション支援センター研修 2022年11月8日
地域ケア会議におけるリハ職の役割
講師:齋藤雄大
・東京都理学療法士協会 羽村市支部介護予防セミナー 2022年12月8日
介護保険の実践 住民がやる!ときめたときの応援10か条を作ろう!
講師:奥野美咲・太樂成美
※その他、地域や院内で行われている研修会、また理学療法士としてのスキルアップを目的とした現職者講習会へも積極的に参加しています。
当院のリハビリテーションとしての質の向上とスタッフとしての各個人の技術の向上が、患者さんへ還元できるような職場を目指し、研究や研修活動に努めています。
2024年度は理学療法士1名、作業療法士2名の合計3名が羽村三慶病院リハビリテーション科に入職いたしました。羽村三慶病院は、回復期リハビリテーション病棟や医療療養病棟といった入院患者の方々を対象としたリハビリテーションに加え、介護保険事業として訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションなど羽村市を中心とした西多摩地域にも目を向けたサービス提供を行っております。さらに、入院時だけではなく外来でもリハビリテーションを利用できる点も羽村三慶病院の魅力だと感じています。
近年、新型コロナウイルスの影響により実習や授業を満足に受けられず、実践的な経験を十分に得ることが出来ませんでした。しかし、現場に慣れておらず不安を感じていた私たちに対し、社会人・医療従事者としての心構え・挨拶・言葉遣い等の基本的マナーから、専門的なリハビリテーションの知識・技術についてまで、先輩方にひとつひとつ丁寧に教えていただいています。
私たち新入職員一同、療法士として地域リハビリテーションに少しでも早く貢献できるよう「誠心誠意」「一所懸命」「切磋琢磨」をモットーに日々精進してまいります。
文責:菱沼・天田・城戸
当科主催の研修会について
※2023年度の研修は、COVID-19の感染予防対策として中止と致しました。
●西多摩地域リハビリテーション支援センター主催 動作介助(HNA)研修会
HNA(Human’s Natural Action)とは、人の自然な動作パターンを介助に用いる技法です。個々の残存能力に応じた介助法の選択により、介助負担を軽減するだけでなく、自立した動作獲得にも繋がります。毎年、西多摩地域リハビリテーション支援センター主催にて動作介助研究会インストラクターによる研修会を当院リハビリテーション科にて行っています。
看護師・介護福祉士・ヘルパー・PT・OT・ST・家族等の介護に携わる方々に対して、介助動作における介助者・対象者双方の身体的・精神的な負担の軽減に寄与することを目的としています。昨年度は「トイレ動作の介助」をテーマとして行いました。
※2020年度の研修はCOVID-19の影響を加味し中止と致しました。
●羽村リハビリ研究会主催 羽村リハビリ研修会
「近隣療法士の技術研鑚を通しての交流」を主目的とし、羽村三慶病院リハビリテーション科職員が中心となり、定期的に実技系研修会を開催しております。
本年は、文京学院大学 保健医療技術学部 理学療法学科 上田泰久先生をお招きして「頸部・上肢の骨ランドマーク、体表筋、神経の触診から運動療法へ」、東京リハビリテーションサービス 臨床塾 塾長髙橋栄子先生をお招きして「activity ~基礎から実践へ~」の研修会を開催致しました。
ご家族様向けリハビリ相談会について
当院ではリハビリテーション科が主体となって、他職種と協同しながら、退院支援の一環としてご家族向け相談会を開催しています。
自宅への退院に向け、少しでも不安を解消していただく事を目的に『介護保険について』『認知症について』『栄養について』の3つのテーマを軸に職員が講座を開催し、個別相談の時間を設けています。
例年では当院会議室にて開催していましたが、新型コロナウイルス感染予防対策として、現在は開催を中止しております。
こちらに『介護保険について』の講座資料を掲載いたしましたので、お役立て下さい。
資料の内容に関して質問がありましたら、リハビリテーション科職員や相談員までお声かけ下さい。
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電話でのお問い合わせの受け付け時間:午前9時00分から午後5時30分まで
電話番号:042-570-1130(病院代表)
FAX番号:042-570-1137
E-mail:reha@hamurasankei.or.jp